★★★☆☆byおたむ
・・・・私は父の葬儀に矢島家の筆頭喪主として利休橘の家紋を背負うて焼香にたち、小さい時から矢島家の家紋を、二人の妹より長く、度多く背負うて来ましただけに、どんなことがあっても、総領娘である私が、あの二人より、たとえ竈の灰の一掬いでも少ない相続は出来まへん、それはもう、現実の損得勘定を離れた気違いじみた執念のようなものかもしれまへんけど、私は昔通りの女系の家の総領娘としての誇りと力を失いとうないのだす・・・・矢島藤代の言葉より

『女系家族』by山崎 豊子
大阪・船場の老舗矢島家は代々跡継ぎ娘に養子婿をとる女系の家筋。その四代目嘉蔵が亡くなって、出もどりの長女藤代、養子婿をむかえた次女千寿、料理教室にかよう三女雛子をはじめ親戚一同の前で、番頭の宇市が遺言書を読み上げる。そこには莫大な遺産の配分方法ばかりでなく、嘉蔵の隠し女の事まで認められていた。…遺産相続争いを通し人間のエゴと欲望を赤裸々に抉る長編小説。